マリオやソニックが多すぎる、ライト兄弟はいないのか?

米国では航空界の現状を「マリオやソニックが多すぎる、ライト兄弟はいないのか?( "Too much Mario and Sonic; not enough Orville and Wilber ?")」 といって嘆いている。 

マリオとは、任天堂が1985年に売り出したファミコン用のゲームソフトの主役のSuper Mario Brothersのことであり、ソニックとは、セガのゲームソフトの主役のことである。


マリオ (任天堂)



ソニック (セガサミー)


コメント

この言葉は、コンピューターを多用したハイテク航空機の台頭により、ライト兄弟のように飛行の原点を知る航空関係者が少なくなり、表面的な運航技術や整備技術しか知らないスタッフがマニュアルだけで航空機を飛ばしているという痛烈な皮肉に他ならない。これは、航空界だけでなく、現代社会におけるあらゆる分野に向けた批判ともいえるのではないだろうか。
オービルとウィルバーのライト兄弟は、元来は航空機設計技術者であり、自らが設計、製作した飛行機を安全に飛ばしたいがために、操縦技術と整備技術を苦労して習得した。これがパイロットと整備士の原点といえる。
つまりは、パイロットも整備士も航空機の設計思想や技術をある程度知っていなければならないが、複雑化した現代のハイテク航空機にあってはそれも難しい。現在のパイロットや整備士は表面的な知識や手法をまとめたマニュアルに従って航空機を運航せざるを得ない状況に置かれている。
このような状況では、航空機運航の主役である航空機設計者とパイロット、整備士の間のコミュニケーションは難しく、さまざまなヒューマンファクターの問題や事故が惹起されている。。
2000年1月31日にアラスカ航空261便のMD-83がが南カルフォルニア沖で墜落した事故はパイロットと整備士が航空機の設計思想を知らなかったことによるヒューマンファクターの問題が原因であるが、公式の事故調査ではそこまでは探求されなかった。(詳細については別途、解説する。)
航空機の客室乗務員に関しても、現在は機内サービス業務や事故発生時の保安業務が重視されているが、ユナイテッド航空が最初に客室乗務員を採用した目的は機内における医療業務であった。
事実、航空機の客室は空気抵抗を減らすためにスペースが制限されており、閉所恐怖症や飛行恐怖症を潜在的に患う乗客にとっては厳しい環境になっている。また、機体構造強度の関係から常に低圧に保たれており、酸素の不足による心臓疾患や過度の酩酊による機内暴力が少なからず発生している。
わが国では最近になって心臓疾患の応急処置のための除細動器(AED)が航空機内に搭載されたが、米国ではかなり以前からAEDが搭載されていないことが医療問題として指摘されており、AEDの機内搭載と客室乗務員に対する専門的な教育と訓練を義務付けられていた。
わが国でもAEDの必要性が認識され、航空機内だけでなく社会のいたる所に配備されるようになったが、AEDにはリチュームイオンなどの高性能電池が使用されていて爆発の可能性があることはあまり知られていない。病院などでAEDが爆発したという事例は少なからずあるが、当事者が公表することはほとんどない。航空機内でAEDが爆発する危険性を考えると、航空関係者はAEDの扱いに十分すぎる配慮を払うべきではないだろうか。


AEDの爆発 (引用: Okaloosa島消防当局)
リスクの原点を忘れるという風潮は原子力業界においても顕著といえる。臨界現象は原子力爆弾とまったく同じ現象であるが、東海村におけるJCOの事故が起きるまでは関係者の間でもこのことが認識されていなかった。原子力は今では平和利用されて安全と考えられて(宣伝されて)いるが、元々は兵器として開発されたものであり、原子力発電とは核分裂を巧みに制御している技術に過ぎない。本年7月25日に、スウェーデンのフォルスマルク原発であわや炉心溶融という深刻な事故が発生しているが、ほとんど報じられていない。