| 事故速報 |
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2007年1月1日、インドネシアのJava島のSurabayaからSulawesiのManadoへ向っていたAdam Air 574便の航空機が消息を絶った。 |
| 同機には96名の乗客と6名の乗員が搭乗していた。機種はBoeing 737-400で、悪天候に遭遇したとも伝えられている。 |
| 続報.1 Adam Air 574便のパイロットは30000ft(35000ftとの情報もある)を飛行中に「機の右側から強い横風を受けている」と管制官に通報していた。その10分後パイロットは管制官に「時速137kmの強い風を受け、機がバフェット(注:空力的自励振動)している」と通報した。これに応えて管制官は、「レーダーに機影が映っている」とアドバイスしたところ、「OK」という返事が返ってきたが、その直後、機影がレーダーから消えた。この事態によりパイロットは飛行コースを2回変更せざるを得なかったという。事故から10日が経つが、40メールともある機体が最新鋭の衛星でも見つけられないことから、機体は海中に没したとみられている。 |
![]() Adam Air Boeing 737 |
| コメント |
| インドネシアではイスラム過激派によるテロが頻発していることから、マスコミはサダム・フセインの処刑に対する報復テロとみるかも知れない。しかし、事故調査で予断を挟むことは禁物であるが、Boeing 737のこの種の事故に限っては無視できない安全上の問題がある。米国社会では、当然のこととしてこの問題に注目するはずである。 |
| Boeing 737は世界中で最も売れている民間航空機の一つであるが、これまでに128件の全損事故を記録しており(Flight Safety Foundation)、その多くは方向蛇(Rudder)の暴走(Hard-over)に起因するものである。Boeing 737は2006年末現在で約5000機が就航しており、Boeing社は、Boeing 737の全損事故は数としては多いものの率としては低いとコメントしている。 |
| Boeing 737が就航した当初の事故は、大型機の後流渦に巻き込まれて墜落するというものであり、Boeing社も後流渦の中でパイロットが操縦を誤ったことが原因と主張していた。 |
| しかし、あまりにも同種の事故やインシデントが多いことから、米国内で操縦ミス説を疑問視する世論が巻き起こり、米国の有力紙であるThe Seattle Timesは1996年10月27日から同31日の5日間にわたってこの問題を大々的に取り上げてキャンペーンを張った。。 |
![]() The Seattle Times |
![]() The Seattle Times |
![]() The Seattle Times |
| それまでBoeing社の主張に納得していたFAAやNTSBも、世論に動かされて再調査を開始せざるを得なくなった。 |
| その結果、方向蛇の油圧制御筒(PCU: Power Control Unit)の全面的な設計変更を求める耐空性改善命令(AD: Airworthiness Directive)が発効された。 |
| 世界中で就航しているBoeing 737のPCUをすべて交換するには長期間を要するため、暫定的にパイロットの操縦と整備に特別の手順が設定されている。 |
| Adam Airの事故がBoeing 737のRudderの問題であると断定するにはもちろん時期尚早であるが、今後のマスコミの報道や事故調査でこの問題が採り上げられることは十分に予測される。 |
| Rudderの問題による事故の特徴は、垂直尾翼あるいは方向陀が先に離脱するために機体の主要残骸から離れた地点で発見されることである。 |
| 事故機のRudder PCUがADの設計変更がされたものかどうかはまだわからないが、垂直尾翼あるいは方向陀が離れた地点で発見され、Rudder PCUが設計変更済みのものであるとすると、設計変更の妥当性がなくなり、この問題は白紙に戻して検討を迫られることになる。 |
| この問題は、わが国ではあまり知られていないが、Boeing 737が全面的に運航停止にでもなれば世界経済に大きな影響を及ぼすものであり、米国と同じように、情報は航空界だけでなく社会全体で共有すべきである。 |
| 続報.1に対するコメント ・ 機影がレーダーから急激に消え、無線通信が途絶えたことから、システム故障や構造破壊による急減圧で緊急降下したのではなく、機体が高々度で空中分解した可能性が強い。 ・ パイロットが横風時速137kmという具体的な数値を報告してきたのはFMS(飛行管理システム)の対地速度の横向き成分を読んでのことと思われるが、これは必ずしも横風に流されたものとは限らず、方向陀システムの異常で機が異常な横滑り(Side Slip)をしていたためとも考えられる。 ・ 機が異常な横滑り状態にある時には、失速状態と同じように、バフェット現象が生じる。 ・ バフェット現象は、上記のような空力的な理由以外に、油圧システムの不安定状態でも生じる。 ・ 単なる異常気象だけでは報告されている状況は起こりえない。 ・ 以上から、米国の事故調査グループが弊社が疑っている方向舵の問題に最大の関心を寄せることは必定であるが、この事故で航空界はこれまでの機材システム改修、パイロットに対する情報伝達、訓練などの対応に変更を迫られる可能性がある。 ・ 弊社は、この問題をBoeing 737の方向舵に限らず他機種の操縦系統にも及ぶ航空界最大の安全問題であるとともにヒューマンファクターの問題と考えており、独自の知見と分析にもとずく新たな見解と対策を航空界に提唱していきたい。 |
| お断り: 今後の報道あるいは事故調査で上記とは別の原因とされた場合には、この情報を全面的に削除します。 |